『ハイアンドローレース』実施所感
「ハイアンドローレース」を、異なる構成の3つのグループで実施しました。 特に印象に残ったのは、基本ルールだけでは「飽き」が早い段階で訪れる ことと、対象となる構成(小学生〜中学生、軽度の特性)では過程②・③を 含めた指導案どおりの進行がうまく機能したことです。構成ごとにテーマを 分けて記録します。
【対象規模についての断り】 いずれの回も、学級単位(クラス全体) への一斉指導ではなく、5〜7名程度の小集団を対象に実施したものである。
ルールの詳しい説明は遊び方紹介記事を、 支援・教育の現場で使う場合の指導略案も用意しいています。こちら をご覧ください。
前段:大小予想だけでは、思いのほか早く飽きが来る
山札からカードを引いて大小を比較するだけの、ハイアンドローの核だけを 抽出したルールで実施したところ、理解の進みやすい児童は、概ね15分 ごろには飽きが見られました。20分ごろには、ほとんどの児童が飽きている 様子で、「これ結局運だよね。」という空気感が場を占めるようになり ました。
指導案の教材観でも、「予想だけを行うハイアンドローは運要素が大きく、 理解の速い児童にとっては飽きが来やすい」と想定していましたが、その 想定が実際の時間感覚(15〜20分)としてそのまま裏付けられた形です。 運要素だけの活動を単体で長く引っ張るのではなく、早めに過程②(数字 指定)・過程③(手札ルール)へ進める判断が重要だと感じました。
小学生メインのグループ:指導案どおりの構成で、脱落者ゼロ
小6×2名・小3×1名・中2×2名という構成で実施しました。これは指導案で もともと想定していた学齢層・構成に近いものです。
- 小3の児童を含め、脱落者はゼロでした。年齢差があっても、最後まで 一緒に取り組めていました。
- 中学生の児童も、「ハイ!」「ロー!」「7!」と、最後まで元気に宣言 し続けていました。学年が上の児童が物足りなさを見せるどころか、積極 的に場を盛り上げる側に回っていたのが印象的です。
この回は、指導案の想定構成と実際の参加者構成が近かったこともあり、 前段で見られた「飽き」の兆候なく、全体として良いテンポで進行できました。
配慮が必要な中学生グループ:個別の調整が必要
別の回では、知的な難しさを抱える、大きく配慮がいる中学生がひとりいるグループで実施しました。 このグループでは、以下のような調整を行いました。
- 数字指定(過程②)は導入しませんでした。 大小の2択までにとどめ、 ピンポイント予想のハイリスク・ハイリターンな選択肢は見送りました。
- 山札からカードを置き、宣言するまでの一連の流れを、通常より長めに 時間を取って進行しました。
- それでも、ルールの理解はやはり難しく、児童の横に指導員がついて 個別に進行をサポートする形での実施となりました。
このグループでの実施は、指導案の「段階を踏んで複雑さを調整する」と いう設計思想が、過程を増やす方向だけでなく、あえて過程を増やさない (過程②を導入しない)という判断にも使えることを確認する機会になり ました。
まとめ
- 大小予想だけの運要素に頼った展開は、15〜20分程度で確実に 飽きが来る。早めに過程②・③へ移行する前提で時間配分を考える。
- 小学生〜中学生が混在する、指導案の想定どおりの構成では、年齢差が あっても脱落者なく、最後まで元気に取り組める。
- 知的に難しさを抱える児童のいるグループでは、過程②(数字指定)を見送り、 宣言までの時間を長めに取るという調整が有効。ただし、それでも個別 のサポート(横に指導員がつく)が必要になる場合がある。
- 段階的な構成(過程①→②→③)は、「どこまで進めるか」だけでなく、 「どこで止めるか」の判断材料としても機能する。
